【母乳育児は人生でたった数年しか味わえないわずかな時間】

母乳育児が母と子の絆を育てるなどと言われるが、現実はそんな穏やかなものではなかったりする。母乳が出るか出ないかは母親の体質だったり乳腺がきちんと開通できているかなども大いに関係してくると思うが、やはり母親の食事もとっても重要になってくる。

母乳は血液なので、当然母親が口にした食事によって母乳の性質はかわってくる。油もの、刺激物を多く含む食事をしている母親の母乳はドロッとした黄色みがかった母乳がでている。現在母乳育児をしている真っ最中だというママがいたら搾乳してみているとよくわかるだろう。なんだか黄色みががった母乳の方が濃くて栄養がつまっているようなイメージを持っている方が多くいるかもしれないが、それは大きな間違い。濁りのある母乳はむしろ質の悪い母乳。質だけでなく、匂いも味も悪い。もしも赤ちゃんが母乳をあまり飲んでくれないなんてときは母乳の出が悪いのではなく、もしかしたら母乳の質が悪い可能性があるため、母親の食生活を見直してみると案外すんなりと母乳を飲んでくれるようになるかもしれない。

私は息子が先天性心疾患であったために、直接母乳を吸わせることは心臓の負担になるため搾乳をして、哺乳瓶授乳していた。また、体質的に乳腺炎になりやすかったために、断乳するまでの期間、油、砂糖、刺激物、肉類禁止の生活をした。そのため常に搾乳をしていたのでわかるのだが、質のいい母乳はサラサラしていて、色は青みがかった白色をしていた。但し、寝過ごして5時間とか搾乳の間が空いてしまったときは、いくら食事を気を付けているとはいえ、その時の母乳はやや濁っていた。2時間以上搾乳しないと自分の体温で母乳の鮮度が落ちるというデータがある。そのため、常に2時間毎の搾乳を続けた。血のにじむ母乳育児とはこのことだと思いながら必死だった。直接母乳を飲ませている母親でも、赤ちゃんが飲み残すこともあるため、授乳後に搾乳をすることをおすすめする。そうすることで次の授乳時に質のいいおいしい母乳を赤ちゃんに与えることもできるので。また乳腺炎の予防にもなる。

点滴やチューブがたくさん繋がれていた息子は、テープかぶれをよく起こしていた。そんな肌の弱い息子が、乳児湿疹などのトラブルを一切起こさなかったのは、質のいい母乳を与えていたからかもしれない。入院生活が長かったので多くの方と同室になっていて気付いたことは、偏った食事をしている母親の赤ちゃんのほうが断然皮膚トラブルが多かったということ。それだけ母乳が与える赤ちゃんへの影響は大きい。

私の場合はずっと搾乳をしての母乳育児であったために、母乳バッグが手放せなかった。母乳バッグを買われた方はご存知のように、地味に高い。搾乳をしていていつも思っていたことがある。直接おっぱいを飲んでくれる子どもはなんて経済的だろうと。

母親の母乳もよく出て、子どもも母乳を飲んでくれるというのは、なんて経済的なんだと、母乳バッグをまとめ買いしながら「このお金があれば…」なんて妄想してみたり。

また、母乳育児のいいところは、どんなに食べても食べても産後太りが解消されていくという点。特に私は息子にしてあげれることは質のいいおっぱいを提供することだけだと必死だったことと体質の問題もあって、食事制限を厳しくしていたために、妊娠して20kgも太ったというのに、産後2カ月もしないうちに元の体重に戻ったのだからびっくり。母乳育児は大変なことが多いがやはりメリットの方が多いと思う。それにやはり免疫面からみると、ミルクよりも母乳のほうが断然いい。息子は先天性心疾患の合併症で無脾症といって脾臓がない。脾臓は免疫を司る働きをするために、脾臓がないと感染に弱い。息子も感染には弱いはずだが、無脾症の子どもにしては感染に強いからだをしている。搾乳によるものではあったが、母乳育児をしてきたから故の強さなのかもしれない。

しかし、仕事復帰などここによって事情が様々あるだろう。母乳育児をしたいけれど現実的にそれが難しい場合など、ミルク育児に移行する、または併用することもあると思う。母乳育児が絶対というわけではないので、それぞれの家庭のスタイルにあった方法を選択することがベストだと思う。今は様々な生活スタイルがあり、また育児に対する選択肢が昔とは違いいくつも存在している。なので無理をして、自分にストレスをかけることだけは避けていただきたい。

直接母乳を飲んでもらうことができなかった私からすると、やはり母乳育児は育児の醍醐味な気がして今でも憧れる。今も思い出す。子どもと離れて過ごす日常でひとり静かに搾乳をしているあの虚しさ。せめて子どものそばで搾乳したいなんて思っていた。

搾乳機も様々な種類のものが出回っているが、私も色々試してみたもののやはり手で搾乳するのが一番だった。時間はかかるもののしっかり絞れるのはやはり手。ただ、時間短縮のために併用するという手もありだと思う。自動搾乳機も試したけれど、あんな高価なのにさほど効果は変わらないため私はあまりおすすめしない。お手頃な搾乳機を購入して浮いたお金でマッサージにでも行った方がよっぽどおっぱいの出もよくなる気さえする。

今現在母乳育児をされている方、またこれから出産される方は、赤ちゃんの体調に合わせてが前提だが、母乳育児を頑張ってもらいたいと私は思う。

断乳もまた痛い思いをするけれど、女性にしか味わえない体験だと思って乗り越えていただきたい。

余談だが、断乳時は信頼できる助産師さんに手伝ってもらってしっかり断乳することで、第2子を出産した際に、乳腺炎を起こさないですむことが多いので、断乳の際は助産師さんの外来へ行かれることをおすすめする。

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